三絃工房■三味線の製造・販売・修理

三味線ができるまで

親方本業の三味線作りです
断じて盆栽いじりばかりではありません!笑

三味線作りに使われる材料と道具


三味線の棹に使われる材料は大きく分けて紅木・紫檀・花梨の3種類があります。
一般的に3種類の中では紅木が最高級の素材とされ、その中でもトチ(木の表面に浮かぶ縞模様の事)目の出ている木がより良い材料と言われます。
この紅木という木はインドの高山地帯でしか取れない大変貴重な木です。


三味線つくりに使われる道具は、ノミ・カンナ・ヤスリだけでも各数十種類におよび、それ以外に現在では電動工具等も使用します。
これは一般的に三味線作りの工程が全68工程におよぶと言われることでも分かるように、各部に使われる道具類もそれに付随して多くの種類が必要になってくる為です。


上記写真の各道具類は、一般的な状態のものであり、これ以外にも特殊な形状の刃物類や電動工具にも手を加えて、その工程に合ったものを使用します。

木取りから原型のできるまで


三味線作りで最も大切な作業「木取り」です。
これは普通、カワメ(トチ目の詰まっている部分)側を向かって右側にもってくるのが一般的ですが、木の質や、将来曲がってくる可能性があるような物の場合、必ずしもカワメを右側にもってこないこともあります。
木取りが終わったら、そこに天神と中子を組み合わせ一組のセットとします。


裁断後の荒木は、まず継手となるホゾを作り、棹全体のサイズを決めていき、丸めの作業に入ります。
本体である棹の部分の原型が出来たら、天神を作り、棹と天神を接着し最後に中子を接着して棹の原型を作る作業は一段落します。


その後正確な棹のサイズを出し、各箇所の仕込み、仕上げの磨き、皮張などの作業に移行していきます。

各部の仕込み



それでは仕込みの作業に入りますが、多少順序が逆になっている所もあります。
上の写真は天神の成形、上棹と天神の仕込み、棹面のタメ出しと、本来もっと前の段階で行う作業ですがホゾ金の仕込みです。



上記写真は糸巻をとめる座金(福林)の仕込みです。
この作業で、糸巻の角度が決まる為大変気を使います。
座金は全部で6個打ち込む訳ですが、この時に糸倉の割れに気を付けながら尚且つ外れないように仕込む必要があります。
福林の仕込みが終わった後には、必ず3本の糸巻の角度が正確に出ているかどうかの確認をします。


上記写真は糸巻の仕込です。
各種類の糸巻をヤスリもしくは旋盤等で荒削りをし、その後糸巻を止めるための微調整に入ります。
糸巻は、演奏者が演奏する上で音を取る重要な部分なので、完全にどの音階でも糸が止まるように仕込みます。



上記写真は東ザワリの仕込みです。
民謡・津軽などはこの特殊な金物を棹に埋め込む事により、三味線独特の音を出しやすくするためのものです。
上棹と天神のつなぎ部分に穴をあけ、そこに特殊な金物を埋め込みます。
その後、三味線の大切な部分であるサワリ切りは砥石で仕上げます。



上記写真は胴仕込です。
棹と胴をジョイントさせる部分の仕込みです。
胴に角穴と丸穴を開けそこに棹を通し、固定させていく作業です。
棹と胴との隙間を0.1ミリ単位で動かすことにより、三味線の音は変わっていきます。
ここでは、各三味線に決められた正確な隙間を作る事と、棹に対して胴が曲がっていないかどうかの確認をしながら作業をすすめます。



上記写真は棹磨きの作業です。
十数種類の砥石と、数種類の紙やすりを使いながらの最終工程です。
棹の傷、割れ、歪みなど全てこの段階で取り除いていきます。
磨きには水を使い砥石で研磨することにより、紅木などが持つ独特の光沢が出てきます。
この作業は細部に至るまで全体的に施すもので、仕上げ後の三味線は鏡のような光沢を持ちます。
この段階で三味線は仕込柄と呼ばれ、その後胴の皮張りを終えれば仕込みは終了となります。

完成品としての三味線



全て工程を終えた三味線は、最後に糸掛けをし、胴掛け・音緒・駒などの付属品をつけ完成品となります。
試し弾きをし、各箇所の緩み、すき、ガタなどのチェックをして納品させて頂くこととなります。
音に関しては、奏者となる人に納品時に最後のチェックをしてもらうように心掛けています。

三味線は、古くから天と地と人を表した楽器と言われ大切に扱われてきました。
作り方に関しては、時代により使う技法も道具も変化していますが、伝統文化であることはこの先も変わりありません。
何かの機会でこの楽器を手にした方は、どうぞこの素晴らしい楽器を大切に弾いてやって下さい。

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